━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━vol.0014━2005.07.6━
■間違いだらけの資格取得術 〜メルマガ編〜□
◇第14号 「会社と資格の関係に迫る」 ◇
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■こんにちは。資格コンサルタントの末木紳也です。
今日は、会社と資格の関係についてお話したいと思います。
会社と資格の関係は、独立開業などよりも現実性が高く、ある意味皆さんが
最も関心があることかと思います。
■「資格を取得すると会社で昇進・昇格に有利に働く」
「就職、転職には資格が必要、武器になる」
「資格があれば憂いなし」
今や、この考え方は日本全国に常識となっています。
一例を挙げると、
金融機関に勤める人が、税理士・中小企業診断士を目指す。
不動産会社や信託銀行の人が、宅建や不動産鑑定士を目指す。
TOEICの高得点を目指して、外資系企業を目指す。 etc
そこで、今日はこのことを会社側からクールに検証してみたいと思います。
■一般に企業(会社)から見ると、資格には三つの側面があります。
一つには、昇進・昇格などに有利になるという点です。
会社は、社員を選抜する道具(ツール)として、しばしば資格を活用します。
例えば、金融機関に勤める人間に中小企業診断士の取得を義務付ける場合。
そして、取得した人間には報奨金を支給し、人事評価を上げて、さらに資格
手当を付けて社員のモチベーションを高める場合。
皆、自分の評価が高まるのですから、必死で資格を目指します。そして、取
得した人は、自分があたかもエリートとして選抜されたと勘違いするのです。
しかし、実際はせっかく資格を取得しても資格を生かす場には配属されなか
ったり、思ったほど会社から評価されなくって落胆することも多いのです。
■二番目は、資格が会社側の義務あるいは強制という例です。
会社は、社員に特定の資格の取得を義務付ける場合があります。
「この資格を取らないと、うちの会社に会社に居られなくなるよ」という無
言のプレッシャーなどです。
例えば、不動産会社では宅建、経理部には簿記等を持っている人が多くいる
のですが、会社側の強制のような場合が多々あります。
もっともこのケース、比較的難易度の低い資格が多いのがせめてもの救いで
すが、それでも日常業務をこなしつつ、資格を目指すのはかなり辛いものが
あります。
(私も経験がありますが、仕事をしながらの資格取得は結構しんどいです!)
無事に取れれば問題ないのですが、取得しても周りはほぼ全員有資格者なの
で、特別に褒められる訳ではありません。
資格取得が当たり前のことなのですから。
一方、試験に落ちると、ワリと職場で肩身の狭い思いをしてしまいます。
■三番目は、自己啓発の一環として社員に資格取得を促す場合。
会社は、常に社員に勉強を促しています。でも、これが会社都合でなく本人
が自発的に資格を目指してくれれば言うことありません。
会社にとっては費用負担もなく、まさに、会社側の思う壺です。
現代は、いつ自分の会社がなくなるかわからない雇用不安の時代ですので、
自己防衛のために、資格取得を目指す人、目指さざるおえない人は近年急増
しています。
日曜日の資格スクールには、疲れた顔をした多くの中高年のサラリーマンが、
一心不乱に勉強している姿を目にすることがあります。
■ここまで、お話すれば感の鋭い方はもうお分かりでしょうが、
近年、会社がリストラ(人減らし)の手段の一つとして資格を巧妙に利用し
ようとしていることはどうも否めない事実のようです。
一番目は、表面上はエリート選抜試験の前哨戦のようですが、真の理由はダ
メ社員選抜のためのリストアップが同時に出来上がる利点もあるのです。
100人受けて、10人しか受からなければあとの90人は、リストラ予備
軍になる可能性さえ考えられます。
二番目は、まさにストレートに昇給や昇格に差をつけられるのですから、資
格試験に落ちた人のモチベーションは下がる一方です。
実際は、仕事が忙しくて資格試験まで手が回らない場合も多いのですが、そ
んなことは、会社は容赦してくれません。
むしろ、適当に仕事の手を抜いて要領よく資格試験をゲットした人間の方が、
人事評価が高かったりするのですから真面目にやってる人間は堪りませんね。
■そして、この三番目こそ21世紀型の最も巧妙な会社の戦略です。
自己啓発で社員に資格取得を促し、社員が資格をゲットしたとします。
そうすると、会社側はその社員に早期退職を迫ってくるのです。
「こんな、難関資格を取得したあなたは、わが社のような業績の悪化した会
社にいなくてもあなたならば、独立開業しても十分やっていけますよ」
そして、その後、ほんの少しの割増退職金を貰って早期退職に同意してし
ます。「あー、あの時会社辞めなきゃよかったなあ」と思っても後の祭り。
■このようなことが、全ての会社で起こっているとは信じたくはありません。
しかし、会社が資格をリストラの手段として使いだしていることは時代の流
れからして確かなことです。
選ばれし者と選ばれなかった者の差。ほんの僅かな差です。
ポスト不足で大卒の4人に1人しか管理職に到達できない時代。
IT技術の進化で、今後も管理部門では絶対的に余剰人員は生まれます。
雇用のミスマッチはあっても、企業のリストラ政策はなくならなでしょう。
企業にとってコストを削減するに最も有効なことは、実は人員削減なのです。
■このような時代、たとえ資格を取得しても資格に拘らない生き方が必要です。
同時に私たちは、組織にいながらも一人一人が企業体であり続けることです。
今、会社員のあなたも会社を頼らないという生き方や会社と一定のスタンス
を取ることは今後必要になるでしょう。
なぜなら、人は誰しも自分の看板を背負って生きているのですから。
本日もご購読ありがとうございました。
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☆今日のワンポイントアドバイス☆
■会社への資格取得アピールは、自分自身への過大評価である場合も多い。
■会社の有資格者への評価は、意外にクールなものである。会社は、資格
をリストラのツールとしても利用し始めている。
■厳しい現代社会を生き抜くには、組織の一員であるという発想よりも、一人
一人が企業体であるという意識が必要である。
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□資格に対する考え方が少しは広がりましたか?
次回は「資格士業と高齢化について」をテーマにお送りいたします。
お楽しみに!
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◇編集後記◇
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