━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━vol.0056━2007.9.19━━━━━━
■間違いだらけの資格取得術 〜メルマガ編〜□        
◇第56号「新司法試験合格発表について」◇
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■こんにちは。資格コンサルタントの末木紳也です。

 やっと、秋らしくなってきた今日この頃ですが皆様いかがお過ごしでしょうか? 

 


■ところで、先日新司法試験の合格者が発表になりました。
 
 今年は、法学部出身者以外の未修者コース(三年制)生が初めて挑戦しました。

 合格者は1,851人。合格率40.2%でした。
ちなみに、 
 法学未修者コース(3年制)を修了した受験生の合格率は32.3% 
   既修者コース(2年制)を修了した受験生の合格率は46.0%でした。




■この結果を見ていて私が面白いなと感じたのは、日経新聞では「法学未修者が健闘」
 という見出しでしたが、逆に朝日新聞では「法学未修者合格32%、既修者46%
 と開き」という見出しだったことです。
 新聞によって捉え方が違う。


 まあ、14%の開きを大きいと見るか、小さいと見るかには様々な見解があるで
 しょうが、私は個人的にはかなり高い合格率だと思っています。
 未修者のほとんどは法律にはズブの素人です。しかし、法科大学院での僅か3年間の
 勉強で三人に一人も司法試験に通ってしまうのですから評価してもよいと思っていま
す。



■周知の通り、旧司法試験の合格率は2〜3%でした。文字通り、司法試験に人生を賭
 けていた人がほんの10年前にはたくさんいたのです。
 当時は、司法試験目指して早10年なんて人は珍しくもなんともなかったのです。

 考えてみれば、司法試験を目指すような人は皆モチベーションの高い人間です。強烈
 な動機付けがなければ、司法試験のような難関試験は長期間戦えません。



■そんな時代を考えれば、合格率40%はまさに驚異的な数字です。
 単純に考えても、旧司法試験の20倍程度の合格率です。それでも試験が易しくな
 った訳では全然なく、合格者の中には「一日13時間勉強して合格した」なんて人
 もいるからおぞましい限りです。

 要は、今年司法試験に合格した人は、

「合格するためには勉強以外は3年間なん〜もできなかったよ」と言っているような
 ものです。試験に受かるまでは、好きなこともやらずに我慢、禁欲生活の日々の繰
 り返しだったんでしょうか。

 でも、もし私が弁護士を頼むのなら、司法試験に合格するために三年間ひたすら
 勉強だけに励んできたような人には頼みたくないですね。法律家にはただでさえ、
 普段から物事を理詰めで考えるせいか、頭が固い人が多いなという印象が私には
 あります。

 弁護士に向く資質とは、本来一般の人にはない人間の幅とか経験とか許容量です。
 それが欠けているような人は、いくら法律の知識があっても本当に他人の身になっ
 て人を弁護することなどはできませんよね。
 


■しかし、もっとも危惧されることは司法試験合格者の増員で、弁護士の数が急増
 することかもしれません。
 2010年には司法試験の合格者が3,000人になります。そして、もうすぐ
 弁護士5万人時代を迎えます。石を投げれば弁護士に当たるような時代になるか
 もしれません。

 米国の100万人近い弁護士数に比べれば、日本はまだまだ弁護士は不足してい
 ます。そのロジックなら確かに今後も弁護士を増やす意味はあるのでしょうが、
 果たして、そんなに仕事があるのでしょうか? 
 私には大いに疑問です。



■今、日本国内の税理士の数は約7万人です。税理士は10年前以上から既に飽和
 状態と言われています。

 税理士でも、年収は数百万円〜数千万円と格差がどんどん広がっています。
 勝ち組の税理士は一握りで、その他大勢は負け組になるという厳しい現実があり
 ます。これ近いにことが将来、司法の世界でも確実に起きるでしょう。

 誰でも司法試験さえ通れば、弁護士になれば、高年収を期待できる時代は終わって
 しまいました。


■何もビジョンがなくても司法試験を目指すのは本人の自由です。誰にも咎められる
 ものではありません。
 
 家庭が非常に裕福であったり、直ぐに社会に出たくなければ、法科大学院への進学
 も選択肢の一つとなるでしょう。しかし、実際の試験勉強は辛い筈です。生半可な
 気持ちでは絶対に合格できません。

 

■今後、どんどん司法試験合格者や弁護士が量産されていきます。これは新しい形の
 社会問題ですね。無責任に資格受験者を増やし、合格者を量産し、資格難民を作り
 だそうとするのが現代社会です。政府の本当の目的とはいったい何でしょうか?
 
 そう言えば、自らの辞任で敵前逃亡してしまった総理がいましたね。  

 こんな人がそもそも日本のトップだったのですから、日本という国は信用できませ
 んね。もはや、自分の身は自分で守っていく以外はなさそうです。
 自分の身を守るもっとも最強で確実な武器が資格なんでしょうが、ビジョンのない
 人がいくら難関資格を持っていても、宝の持ち腐れになりはしないでしょうか?

 こんなことを考えながら、司法試験合格のニュースを見ていました。

 本日もご購読ありがとうございました。

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◇編集後記◇
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 最近、読んだ本で面白かった本を紹介します。
 「芸術起業論」幻冬舎(村上隆著)
 
 芸術にもマネーは必要という新しい考え方です。芸術家も起業家も根っこは同
 じなんですね。共感しました。 
 
 連絡先  ⇒ info@shikaku-21.com
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■発行者 「■間違いだらけの資格取得術 〜メルマガ編〜□」末木 紳也
  発行者Webサイト: http://www.shikaku-21.com

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